フリパラ(フリーランスの失敗・パラダイス)

納品後の放置で失った継続案件:関係構築の重要性と実践的な学び

Tags: 継続案件, クライアント関係, フォローアップ, コミュニケーション, 失敗談

フリーランスとして活動する上で、新規案件の獲得はもちろん重要ですが、一度お仕事をご一緒したクライアントとの関係をいかに継続させ、次の仕事へとつなげていくかという視点も非常に大切です。私自身、フリーランス初期にこの点の重要性を軽視し、大きな機会損失をしてしまった経験があります。今回はその失敗談と、そこから得られた学びについてお話しいたします。

案件納品は「終わり」ではない、始まりの合図だった

私がフリーランスになって間もない頃のことです。ようやく掴んだ初めてのWebサイト制作案件に、私は全力を注ぎました。納期に間に合わせるため、連日深夜まで作業を行い、無事にサイトを完成させ、期日通りにクライアントへ納品することができました。クライアントからは感謝の言葉をいただき、達成感でいっぱいでした。

しかし、その後の私の行動は、今振り返ると非常に浅はかだったと言わざるを得ません。私は納品が完了したことで、「自分の仕事は終わった」と捉えてしまったのです。納品後の簡単な感謝メールと「何かあればご連絡ください」という言葉以外、積極的にクライアントへ連絡を取ることはありませんでした。

数ヶ月が経ち、そのクライアントのWebサイトに新たな更新が加えられていることに気づきました。気になって調べてみると、私の関与した範囲外の新しい機能が追加されており、それが別のフリーランスによって手掛けられたものであることを知りました。私にとっては青天の霹靂でした。

「なぜ、私に声をかけてくれなかったのだろう?」

その疑問は、やがて後悔へと変わりました。

失注の背景にあった「関係構築の欠如」

私はすぐにその原因を探り始めました。納品物の品質は問題なかったはずです。しかし、クライアントは私ではなく、別のフリーランスを選んだ。その大きな要因は、納品後の「関係構築の欠如」にあったと確信しました。

当時の私は、新規案件の獲得にばかり気を取られ、既存のクライアントとの関係維持を全く意識していませんでした。納品がゴールであり、その後のフォローアップや、クライアントの事業の進捗への関心は希薄だったのです。

クライアントにとって、一度一緒に仕事をした相手は「顔見知り」ではありますが、同時に「縁の切れた人」でもあります。次に何か困った時に、わざわざ以前のフリーランスを思い出し、連絡を取る手間をかけてくれるとは限りません。特に、他に選択肢がある場合はなおさらです。

この失敗から、私は「納品はあくまでプロジェクトの一区切りであり、クライアントとの関係性においては新たなスタートラインである」ということを痛感しました。

継続案件につなげるための実践的なフォローアップ

この経験を経て、私は納品後のクライアントとの関係構築に意識的に取り組むようになりました。以下に、私が行っている具体的な施策をいくつかご紹介します。

1. 納品後の感謝と状況確認の連絡 納品から数日後、改めてお礼のメールを送るとともに、納品物の運用状況や、何か不具合がないかなどを確認する連絡を入れます。ここで、クライアントが抱える小さな疑問や不安を解消できると、信頼感につながります。

2. 定期的な情報提供と価値貢献 案件の種類にもよりますが、数週間から数ヶ月に一度、クライアントのビジネスに関連する最新情報(業界トレンド、新しいツール、改善事例など)を簡潔にまとめて提供するようにしています。これは直接的な営業ではなく、「あなたのビジネスに役立つ情報提供」という形で、常にクライアントの役に立ちたいという姿勢を示すものです。

3. クライアントの事業への継続的な関心 クライアントのWebサイトやSNSなどを定期的にチェックし、事業の動きを把握するように努めています。これにより、クライアントが次に何に困りそうか、どのようなニーズが生まれそうかを先回りして考えることができます。具体的な課題が見つかれば、「もし〇〇でお困りでしたら、私の方でお手伝いできるかもしれません」と、具体的な提案へとつなげることも可能です。

4. カジュアルなコミュニケーションの維持 過度な頻度は避けますが、季節の挨拶や、相手のSNSでの発信内容に触れるなど、ビジネスライクになりすぎないカジュアルなコミュニケーションも大切にしています。これにより、何かあった時に気軽に相談してもらえる関係性を築くことができます。

まとめ:信頼が未来の仕事を生み出す

フリーランスにとって、新規案件の獲得は常に課題ですが、一度築いたクライアントとの関係を大切にし、継続的な信頼関係を構築していくことは、安定した仕事量と売上を確保する上で非常に重要です。

納品はあくまで「点の仕事」であり、そこから「線」でつながる関係へと発展させることで、新たな仕事の機会が生まれます。私の失敗談が、皆さんがクライアントとの関係構築を見直すきっかけとなれば幸いです。納品後も積極的にクライアントと関わり、信頼という資産を築いていきましょう。